プロジェクトワーク
プロジェクトの進行
1.プロジェクトの受注
通常、プロジェクトの受注はパートナーやプリンシパルが中心となって行います。受注のきっかけはさまざまですが、通常は既存クライアントからのリピートオーダーやパートナーやプリンシパルの人的ネットワークまたは既存クライアントからの紹介、セミナーや記事を見ての問い合わせなどを契機として提案書を提出し、プロジェクトの受注に結びつくケースが主です。
また、ある場合は、クライアント側でコンサルティング会社数社に対して提案書の提出を依頼し、その中から内容や価格等を考慮して最終決定する入札方式の場合もあります。
パートナーやプリンシパルは、潜在的なクライアントを掘り起こしてプロジェクトの受注につなげるため、常にネットワークを駆使して潜在的なクライアントの役員や担当者と、密なコミュニケーションをとっています。たとえば、書籍やニューズレターなどを発行した際には、内容に関連する企業に訪問して議論したりしています。いずれにしても、提案書の提出を求められた場合には、数回にわたって担当者と討議を行い、クライアントの現状認識や抱えている課題、プロジェクトに求める期待値を把握した上で提案書を作成、提出します。
2.プロジェクトのスタート
提案書を提出し、予算面やプロジェクトの内容等で最終的な合意が得られれば、プロジェクトがスタートします。多くの場合、プロジェクトの期間は12週間程度となります。また、体制としてはプロジェクトマネージャー、シニアコンサルタント、コンサルタントの3~4人程度でチームを組みます。チーム編成の際には、担当パートナーが、各スタッフのこれまでの経験、関心のある分野やテーマなどを勘案して具体的な人選を行います。チーム編成が完了したら、いよいよプロジェクトが実際に動き出します。まずプロジェクトマネージャーが中心となって、担当パートナーとも議論しながらプロジェクト全体の枠組みや仮説、具体的なワークプランを一気に決めていきます。シニアコンサルタント以下もその議論に加わり、各自が意見を戦わせていきます。
その上で、クライアントとのキックオフミーティングを行い、更に詳細な進め方を詰めていきます。分析に必要なクライアントの社内データの受け渡し、調査・分析方法などの打ち合わせ、初期仮説についての議論などを踏まえ、キックオフミーティングからプロジェクトは加速していきます。なお、プロジェクト実施方法として、主にクライアントのオフィスに常駐して行うスタイルと、主に弊社オフィスで仕事を行い、定期的にクライアントとミーティングを重ねていくスタイルと大きく2通りに分かれます。
進行のスタイルは、プロジェクトの性質・状況によって決定します。たとえば、クライアントの社内情報の分析や社内インタビューなどが非常に多く、弊社オフィスとクライアントのオフィスを行き来することが非効率な場合や、集中的に日々クライアントとディスカッションが必要な場合などは、常駐型のプロジェクトとなります。逆に、弊社社内で集中的な検討・作業が必要な場合には、弊社オフィスでの作業となることが多いです。
3.プロジェクト中の進め方
プロジェクトの進行は、プロジェクトによって大きく異なりますが、基本的には「仮説作成」→「検証」→「仮説修正・最終化」→「報告書作成」といった流れで進みます。
【仮説作成】
仮説作成は、先に述べたように、プロジェクトスタートに際し、限られた情報の中から初期仮説を作ることからスタートします。この段階では情報も限られていますので、確からしさや詳細さはあまり求められません。ただし、何が一番ポイントになっているか、何がキードライバーなのか、といった点をある程度絞り込んでいきます。たとえば、売上が低迷するアパレルブランドの再成長プロジェクトという想定で、簡単に説明しましょう。
まず、ひとつのポイントとして、何が売上低迷を引き起こしている問題なのか、それは客数の減少なのか、客単価の減少なのか、といった点を検討します。もし客数の減少であれば既存客が離れていっているのか、あるいは新規客が減少しているのか。また、客単価の減少であれば、購入点数が低下しているのか、あるいは一点あたりの価格が落ち込んできているのか、アイテムごとの売上に変化があったのか。こうしたポイントを切り出し、一つ一つ考えられる状況を潰していきます。
その上で、その問題が何によって引き起こされたのかを考えます。たとえば、既存客のリピート率が減少し、かつ新規客数も減少することによって客数が落ち込み、売上が低迷しているという仮説を立てたら、その要因として、認知度の低下、ブランドイメージの悪化や希薄化、商品の陳腐化、店舗スタッフの応対の不味さなどが考えられます。
そして最後に、それを解決して再びブランドの売上を向上させるための論点や方向性の仮説を考えます。そもそもブランドのターゲットをどう再設定すべきか、その場合には現状で何を改善する必要があるのか、何を強みとして活かしうるのか、そして具体的にどのようなマーケティングアクションを打つべきなのか。こういった点を、初期仮説として検討します。もちろん、仮説は一度作成したら終わりではなく、プロジェクトの進行に伴って、随時進化させていきます。
【仮説検証】
次いで、仮説の検証を行っていきます。まず、初期仮説を検証するために必要な検証のポイントや手段を考えます。どういった情報があれば初期仮説が正しいのか間違っているのかを判断できるのか、そのためにはその情報をどのような手段で収集・分析すればいいのか、詳細を設計します。
情報収集の手段としては、クライアントの社内情報の分析、クライアントのキーパーソンへのインタビュー、消費者調査、業界有識者へのインタビューなど、様々な手法が存在しますが、必要な情報や目的、予算、時間的制約などを考慮して、最終的な調査設計を行い、調査・分析を実施します。この段階でも、作業の途中で新たな発見があれば、必要に応じて仮説は次々と修正・進化していきます。
【仮説修正・最終化】 調査・分析が完了したら、仮説修正と最終化を行います。多くの場合、この段階までに初期仮説は何度か修正され、ブラッシュアップされているので、最終的な調査結果によって根底から変わってしまうようなことはありません。ただ、仮説の確からしさ、正しさが調査結果によって裏打ちされ、更に確信の持てる内容へと進化していきます。
【最終報告書作成】
最後にこうした調査・分析結果をまとめ、そこから得られる示唆、洞察を整理し、仮説の最終版と併せてストーリーを構築して最終報告書にまとめます。その際重要なことは、クライアントに最も伝えるべきキーメッセージが何か、ということです。仮説を進化させる段階で、およその方向性は見えていますが、調査や分析を通じて最終的にクライアントのビジネスにとって重要なポイントが何なのか、クライアントに対して提案すべき内容は何なのか、といったことを、徹底的に考えます。その際、プロジェクトメンバー全員が議論に参加し、担当のパートについてメッセージを考えたりと、チームが一丸となって思考を深めていきます。最終報告書が完成したら、クライアントに対して報告を行い、分析資料などをクライアントに納品してプロジェクトが完了します。報告終了時に、「よくやってくれた」、「非常に満足した」、といった声をクライアントからかけて頂く瞬間が、コンサルタントにとって最もやりがいを感じ、コンサルタント冥利に尽きる瞬間となります。
4.プロジェクト終了後のフォロー
最終報告を終えると、次フェーズへと続く場合や、別のテーマで同一のクライアントから依頼を受ける場合もありますが、そこで一旦終了となります。ただし、そういった場合でも、クライアントとは継続的な関係を構築しています。食事に行ったり、クライアントが何か新しく問題を抱えている場合に相談に乗ったりします。そして何より一番重要なことは、一度プロジェクトを通じて築かれたクライアントとの信頼関係が、コンサルタントにとっても何よりの財産となるのです。
また、プロジェクトのメンバーは、プロジェクトが終了すると、チームは解散となり、次のプロジェクトへとアサインされていきます。その際、次のプロジェクトがスタートするまで休暇を取ったり、自主的な勉強・業界分析など、普段時間を十分に割くことができないこと等に時間を使い、次のプロジェクトに備えていきます。
スタッフの声
大島 怜 (シニア コンサルタント)
Q:まず、あなたのこれまでのキャリアを簡単に教えてください
A:慶應義塾大学商学部卒業後、ローランド・ベルガー入社。自動車や化粧品・時計・ホームファッションといった消費財を始め、商社・産業財等の業界でプロジェクトを経験。テーマは中期経営計画の策定支援、成長戦略やマーケティング戦略の立案、ビジネス・デューディリジェンスなど
Q:あなたの最近1週間の仕事内容、スケジュールを簡単に教えてください
A:
月曜日:
今週1週間のスケジュールを確認した後、分析のために必要なタスクを洗い出し、その中での優先順位付けをする。戦略仮説構築に向けた論点とステップについてマネージャーからフィードバックを貰い微修正。先週収集した二次情報とクライアントから貰った業界/競合情報に目を通し、業界構造とトレンド、それに対する打ち手の初期仮説をまずは考える。同時に、仮説検証のためにヒアリング先のコンタクトを取り始める。
火曜日:
午前中は業界に詳しいエキスパートにインタビューし、初期仮説の検証を実施。大筋は正しかったものの二次情報では得られなかった動向とその要因を聞き出すことが出来たため、仮説を作り直す。午後はよりミクロな個別企業の動きへと焦点を移し、各社の基本的な考え方について整理。戦い方のパターン分けを行うための適切なフレームワークについて熟考する。
水曜日:
徐々に見えてきた業界のKFSとクライアントの強み/課題をさらにブラッシュアップするために、取引先やエンドユーザーに対して詳細なヒアリングやアンケートを実施。そこで得た情報をもとに、自社の強みをベースに取るべき戦略についてチームメンバーと共にディスカッションし、今回の提案の最終的な落としどころについて共有。パッケージのストーリーを具体的にパワーポイントに落とし始める。
木曜日:
マネージャーとストーリーについて再度確認。論理の詰めが甘い部分を指摘され、若干の修正をした後、パッケージの中身を埋めていく。途中、手にしている情報だけではサポートしきれないスライドがあったため、そのための情報を入手すべく、業界エキスパートに再度連絡したり、消費者の身になってお店に電話をする。また、他業界の事例をアナロジーとしてスライドに盛り込むことで、クライアントにより納得感を持って貰えるよう心掛ける。
金曜日:
朝一番のフレッシュな頭で、もう一度クライアントの視点に立ち、全体として違和感のない一貫性あるストーリーになっているかどうかをじっくりと確認する。最終的なメッセージングを微修正し報告書を仕上げる。午後はクライアントへの報告会。自分が担当したモジュールについて相手に伝わるよう一言一句丁寧にプレゼンテーションし、それを踏まえたディスカッションを行う。
Q:あなたがこれまでに仕事をしてきてもっとも大変だった仕事・作業、楽しかった仕事・作業は何ですか?
A:最近では、日本を代表する企業の買収案件が非常にエキサイティングでした。まず第一に重大な意思決定に関わった点です。売上規模が数千億円の企業を買収すべきかどうかを判断する必要があり、その結果次第では、日本経済に対しても大きなインパクトを与えうるものでした。第二に、そのような重大な案件であるにもかかわらず時間的な制約がかなりあった点です。通常よりも何倍ものワークロードが求められ、大きな負担とプレッシャーがありました。さらに、投資ファンドや投資銀行、弁護士事務所などとのコンソーシアムを組んでいたため、その中での立ち振る舞い/バリューの出し方にも苦労しました。そのような中で、自分とチームメンバーを信じながら、事業性の評価と成長戦略の方向性出しをしていったプロセスは大変ではあったものの、何物にも変え難い貴重な経験・財産になっています。
Q:新卒からコンサルタントになって、仕事上で大変だった点は何ですか?どうやってそれを克服してきましたか?
A:学生時代と余りにも異なる時間密度の濃さでしょうか。プロスポーツのように一分一秒を争うほどではないですが、定められた時間内でやるべきタスクがいつも山のようにあります。勿論、ここでいうタスクは単純な作業もありますが、それ以上に自分の頭で考えて無から生み出す付加価値そのものを求められることが大半です。何もない真っ白なキャンバスを前に、学生時代よりも数段深いアイデアを、しかも短期間にアウトプットすることが必要とされる環境に慣れることが何よりも大変でした。実際に調べる過程で見つけた断片的な情報(ここでは単なる情報)から物事を抽象化し、その背後にあるメカニズムを読み解き、求められる答えを導き出していくという過程そのものに全く馴染みがありませんでした。
これを克服するために、まず自分のデスクの目に付くところに、自分自身を言い聞かすメッセージを書き記すことで、常に自分の立ち位置や求められる役割をしっかりと意識付けました。また同時にプロフェッショナルとしての意識を高くもつことを常日頃から心掛けることによって、何とかこのハードルを乗り越えてきました。
Q:コンサルタントとして働くようになってから、自分はどのような成長を遂げたと思いますか? 他業界に入った友人・知人と比べてどのような点が特に身についたと思いますか?
A:物事を複眼的に考えることができるようになったことが大きな成長だと感じています。多くのプロジェクトの場合、ある特定の部門・部署から依頼がくるものの、組織を構成する各部門/各階層の視点に立って物事を考えていかなければなりません。また、社外に対しても、サプライヤーや買い手、最終的なエンドユーザー等、様々なレベルの顧客の視点で仕事を進めていく必要性があります。実際に、経営者の目線で考えていた10分後には、店頭でクライアントの商品を選ぶ消費者の目線になっていたりすることも多く、その結果として、他業界に入った友人等と比べてみても、世の中を俯瞰的に捉え、高い視座で仕事を進めることが出来ている気がします。
Q:仕事にまつわる面白い、楽しいエピソード、苦労話があれば教えてください
A:プロジェクトの打ち上げも、プロジェクトの延長線上との位置付け(?)でかなり力が入っていて、苦労して考え抜いた仕事の分だけ、考え抜いた中から選ばれたレストランにて毎回催されています。プロジェクト期間中には白熱の議論をしあったチームメンバーも、この場では和やかに舌鼓を打つことが多いです。
Q:入社を希望もしくは検討している学生に一言
A:社会に出て1社目のカルチャーというのは、良くも悪くもその人の軸になるものです。その点、ローランド・ベルガーは、何らかの目標を達成するために自分を磨きたい、又は貪欲に成長したいと思っている方々には相応しい会社だと思います。普通の事業会社にありがちな「あなたは新卒だから・・・」というような制限・制約は一切無いので。自分自身で物事を考えてそれを実行していきたい人に是非来てもらいたいです。

